2015年4月18日土曜日

やめられないジンクス

なかなか読み終わらない Thinking, Fast and Slow だが, ある章を読んでいてこんなことを考えた

私のジンクスの 1 つに, 「腕時計をつけ, コーヒーを持って会議に参加すると, うまくいく」というのがある. 「腕時計→時間を意識する」「コーヒー→眠気防止」という実用的な意味もあるのだが, 5 年くらい前からこれが 習慣となり, やめられなくなった

一方, 人間は「その行為を続けることで失敗するよりも, その行為を変えることで失敗するほうが, 後悔が大きい」 という性質がある. 例えば「A 社の株を持っている人が, ある日, A 社の株を持ち続けようと判断し, 損を出した」場合 よりも, 「B 社の株を持っている人が, ある日, B 社はやめて A 社の株を持とうと判断し, 損を出した」ほうが 後悔が大きい. 「レストランであるメニューを頼んだらとても美味しかった. 別の日にそのレストランへ行ったとき, 別の メニューを頼んで美味しくなかったら嫌だから,以前と同じメニューを頼む」というのも同じことだ

ジンクスも同様で, 「ジンクスをやめることで不都合なことが起こったら嫌だから, ジンクスを続ける」という 意識が働いている. しかしジンクスに具体的な因果関係が無ければ, 「過去にうまくいった」ことと「今後もうまくいく」 ことの間には関係が無く, 当たり前だがジンクスには意味が無い

他人に合理的な判断を求める私自身が合理的な行動をしていないのも何か矛盾があるので, ジンクスを 1 つやめて みようかと思う

2015年4月5日日曜日

プロ野球の投手とリスク

また, リスクの話である

多分, 日経新聞のスポーツ欄のコラムなどに書かれていたことだと思うが, 「あの投手は普段は淡々と投げて いるが, ピンチになると『スイッチ』が入る」とか「大投手が球場を沸かすのは, 適当に打たれるからだ」という 話がある. 新人の投手などでは最初から全力で投げて三振を取りにいくような姿勢が見られるが, ベテランは 必ずしもそうではないと, 私自身も思う. これは「相手チームに点を取られても, 自分のチームがそれ以上に 点を取れば勝ちになる」という野球の特徴を考えた上で, ベテラン投手がいかに効率良く勝つか (≒ 1 シーズンの勝ち星を 多くするか) を考えた上での行動なのではないかと思う

投手にとってリスクが少ないやり方は, 自分の controllable な範囲内でアウトを取ること, すなわち 三振を取ったり, 内野ゴロに抑えたりという方法である. ただしこの方法は投手への負担が大きいので, これだけで 1 シーズンを乗り切るのは無理である

そうなると, 多少のリスクはある (投手の uncontrollable な領域が増える) が, ピンチでないときは 投手のみでアウトを取ることを考えずに, 例えば打たせてアウトを取るなどの方法も混ぜていく. こうする ことで, 投手に過度な負担をかけずに, チームとして勝ちを狙えるようになる. ベテラン投手はこの 「リスク」の取り方を学んでいるからこそ, 仮に打たれても負けにならないようにできるのだろう

リスクとは不確実性であるから, リスクを取るということをは不確実性が増すことになる. 不確実性が 増す中で, どの範囲を OK とするか, あるいはどういう場合にリスクを減らす行動を取る (投手の「スイッチ」を 入れる) か, そんなことを考えながら仕事をしていこうと思う

(追伸) プロ野球はショービジネスの側面もあるから, 「単に三振を取るよりも, 打たれてピンチの状態で アウトを取るほうが人気が出る」という考えも混ざっているかもしれない