2015年2月28日土曜日

リスクを取るのは簡単だけど難しい 2

こんなケースを考えてみた. どちらを選びますか?

  • 無条件で 9 万円を差し出す
  • 90% の確率で 10 万円を差し出す. でも 10% の確率でお金を差し出さなくても良い

今度は, 後者を選ぶ人が多いのではないだろうか? 理由は, たとえ 10% であっても, 損しない可能性が ある方に賭けたい気持ちが働くのだろう

今度は, 期待値を変えてみる

  • 無条件で 9 万円を差し出す
  • 90% の確率で 20 万円を差し出す. でも 10% の確率でお金を差し出さなくても良い

期待値 (の絶対値) は後者のほうが 2 倍も大きく, 明らかに後者のほうが不利だ. でも 後者を選ぶ人が少なからずいるだろう

これは, 野球で言うと「9 回裏 2 アウトの場面で, 代打でホームランを狙う」気持ちに 似ている. 確率は低いけど, 大きな効果を得られる方法があるなら, それに賭けてみたいという 気持ちが働く. でも長い目で見れば, 「一発逆転」を狙うよりは, 損失を小さく抑える方法を 考えるほうがベターである場合が多い

「安易にリスクを取ると失敗する」という事例である

リスクを取るのは簡単だけど難しい

を読みながら, 「リスクを取る」ことに ついて考えた (行動経済学を誤って理解してたらごめんなさい

次の 2 つの選択肢のうち, あなたはどちらを選びますか?

  • (堅実派) 無条件で 9 万円あげます
  • (ギャンブラー) 90% の確率で 10 万円あげます. ただし 10% の確率で 0 円になります

どちらの期待値も 9 万円なので, 合理的な集団に尋ねれば, 堅実派とギャンブラーが半々に 分かれるはずだ. でも現実は, 多分, 堅実派のほうが多くなると思う. なぜかと言うと, ギャンブラーの 「10% の確率で 0 円になる」という結果が嫌で, 確実に 9 万円を得られる方を選んでしまうからだ

では, ギャンブラーの賞金を釣り上げてみる. 次の 2 つの選択肢だったら, あなたは どちらを選びますか?

  • (堅実派) 無条件で 9 万円上げます
  • (ギャンブラー) 90% の確率で 20 万円あげます. ただし 10% の確率で 0 円になります

こうなると, ギャンブラーが増えてくるのではないか? しかし, 期待値はギャンブラーのほうが 2 倍も 大きいのにも関わらず, 堅実派を選択する人もそれなりにいるだろう

これを仕事に置き換えて考えてみる

  • (堅実派) 成功確率は高いが期待値が高くない選択肢
  • (ギャンブラー) 成功確率は高くないけど期待値が高い選択肢

これら 2 つの選択肢があったとき, 多くは前者の「成功確率は高いが期待値が高くない 選択肢」を選ぶのではないだろうか? だが, 前者の選択肢を選び続けていると, 成功する確率は 高いものの, 成果が小さいということになってしまう. 「合理的」に考えられれば長い目で 見たときに成果を大きくすることができるのだが, 「心情的」に失敗を避けたがるので, 成果が 小さくなる. 頭では分かっていても, リスクを取るのは難しい

2015年2月22日日曜日

任して任さず

ブクログでのレビュー で 「任して任さず」について書いたが, 少し補足しておこうと思う

「任して任さず」に対する一般的なイメージは, 例えば 黒野さんのコメント のようなものだろう. ここでは上司の視点と部下の視点の両方が書かれているが, 重視されて いるのは上司の視点である. つまり「部下に任せても, 任せっぱなしにしない」ということである. 私もずっと そう思っていた

しかし 丹羽さんの意見 を読むと, もっぱら部下の視点しか描かれていない. 松下幸之助の部下であり続けた丹羽さんの立場を考えると「任して任さず」を部下の視点で捉えるのは ある程度は必然かも しれないが, それでも部下の視点に徹していることは強調すべきことである. 私もこれを読んだときは, ちょっと衝撃だった

というわけで「任して任さず」は上司の管理術としてはもちろん大事なのだが, むしろ部下の行動規範として考えるのが もっと大事だと, 私は思っている

2015年2月8日日曜日

隣の芝が青く見える

繊維
「繊維」というと「斜陽の代名詞」みたいな感じもあったが, ユニクロのヒートテックは繊維の技術で生まれたものだし, 炭素繊維だって 盛り上がっている. 今治タオル だって, ブランドが確立した感がある

半導体の封止成形
私が関わっていた 20 年前は, 熱硬化性樹脂による半導体の封止成形はトランスファー (移送) 成形で決まりという感じがした. でも 最近は, より大面積を一括で成形するために圧縮成形に戻ったり, そこに成形機や金型の進化もプラスされて, すごいテクノロジーに 進化している

粉末冶金
金属の粉末を圧縮して固めて, 熱処理してくっつけるのが粉末冶金. 材料配合に進化はあっても, 成形方法は行きつくところまで行った と思っていたのだが, 最近, 金属の Additive Manufacturing (AM) が注目され, その土台として粉末冶金も光が当たっている ように感じる

最近, 展示会などを見に行くと, 隣の芝の青さが目につく. ただ, これは偶然ではなくある程度は必然の進化だと思うので, 自分の芝を青くすることを虎視眈々と狙って行きたい